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風邪の診断について

風邪の診断は難しいです。風邪と思ったら重篤な病気のこともあります。

発熱したら「コロナの抗原もしくはPCR、インフルエンザ抗原が陰性であれば、風邪」という風潮があると思います。確かに発熱の原因は、COVID-19、コロナ、インフルエンザ、肺炎、その他感染症など非常に多岐に渡ります。更に言うと、髄膜炎、感染性心内膜炎、肝炎、心筋炎、悪性腫瘍など、命に関わる病気の可能性もあります。

なので、「コロナとインフルエンザの検査で陰性だったら風邪」という考えは安直であり、かつ危険な判断です。今回は風邪の診断はどのようにすべきか、を説明します。

風邪はほとんどの人が引いたことがあると思います。風邪を定義するとしたら、ほとんどの場合3〜5日で自然寛解するウイルス感染症で、多くは咳、鼻汁、咽頭痛といった多症状を呈するウイルス性上気道感染、です。

R B turner. Epidemiology, pathogenesis, and treatment of the common cold. Ann Allergy Asthma Immunol. 1997 Jun;78(6):531-9. 

つまり、咳、鼻汁、咽頭炎のいずれも症状がなく、1週間以上続く発熱は、風邪ではない可能性があります。
いくつか例を出します。

「発熱、頭痛が1週間続いている。しかし咳、鼻汁、咽頭痛はない」というケースは、典型的な風邪らしくありません。髄膜炎などの可能性もあります。

「発熱、排尿痛が3日続いている。しかし咳、鼻汁、咽頭痛はない」というケースも風邪らしくはありません。膀胱炎を疑う病歴です。

「発熱、片側の肘が腫れて痛い」というケースは、風邪ではなく、関節炎を疑います。

これらの例のように、痛みの部位が明らかなら疾患も予想できますが、発熱のみの場合は診断に難渋します。原因がわからない発熱の3大原因は悪性腫瘍、感染症、膠原病と言われており、常にこれらの可能性も考えなくてはいけません。
なので熱が出た時にご自身で風邪薬を飲んで様子みるのは良いですが、上記のように典型的な風邪ではない場合、病院受診した方が良いでしょう。

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